ビットコインに15億ドル投資。テスラ社の投資戦略から考える2021年の資産運用。
こんにちは、鈴木です。
今回は米テスラ社が2月8日にSEC(米証券取引委員会)に提出した報告書から考える2021年の資産運用について書かせていただきます。
アメリカでは証券業界や上場企業の不正会計を防ぐためにSECへの報告書を提出する必要があります。
今回、テスラ社が提出した報告書が話題になっています。
この提出書の内容によりますと今後、テスラ社は『現金資産の一部を多様化と最大化を図る為にデジタル資産、金地金、金ETFに換えていく。』と方針を示しました。
この内容通りにテスラ社はビットコインに15億ドルの資産を投じたと発表し、2月8日のビットコイン価格は4万5000ドル(約470万円)に迫りました。
SECに提出した報告書の中で2020年末時点でテスラ社は190億ドルを超える資産を保持していたとしています。
つまり資産の内、8%をビットコインに換えたというわけです。
今後も継続してデジタル通貨を買い続けていく方針で、さらに並んで金への投資も行っていくという戦略です。
ビットコインは急騰したことで話題になっていますが、金市場はどうなっているでしょうか。
結論から言いますと、ビットコインの価格上昇に比べ出遅れており、ここからの価格上昇にまだまだ余地があるという状況でした。
昨年からビットコインと金はドル安へのリスクから資金の逃避先として注目されてきました。
その流れは2021年も変わらず継続しており、先立ってビットコインが急騰したという結果です。
これには金相場のアノマリー(相場の規則性)も関係しており、金価格の年間最安値は1月~3月に出やすいとされ、過去20年を見ても半分のケースで記録されています。
また、そのうちの70%は1月に出ており、年初の金価格は割安感があります。
今後、テスラ社の資金も流入してくることを考えれば、この時期に金を仕込んでおくのは得策ではないでしょうか。
ここまでは短期的な話をしましたが、ここからはさらに大枠の流れについて書かせていただきます。
そもそも、ビットコインや金が注目された理由は基軸通貨であるドルへの不信感です。
コロナ禍の影響での追加経済対策や金利引き下げがドルへの不信感を高め、ドルの代替資産としてビットコインや金へ資金の流入へ繋がりました。
こちらの流れは過去の記事をご参照ください。
2月の第一週は米追加経済対策への期待から株価も上昇しました。
この追加経済対策を先導しているのがイエレン財務長官です。
イエレン氏はオバマ政権ではFRB議長として活躍し、2008年以降のアメリカ経済危機に対しても大規模な量的金融緩和政策で手腕を振るいました。
当時、ドルの供給量は4兆ドルを超え、経済を回復させたとして高い評価を受けました。
イエレン氏は経済危機に対してドルをばら撒き、経済を立て直すという政策が得意なのです。
今回も1.9兆ドルの追加経済対策が通れば2022年には失業率も完全雇用に戻るとし、否決されれば2025年まで長引くと発言しています。
2月5日の雇用統計では長期失業者が増加し、労働参加率が低下したという結果です。
イエレン氏はこの結果を懸念し、追加経済対策を早期に行う必要性を説いています。
2021年もドルの供給量が増加することから、ドル安の流れは止まりません。
ドル安を懸念する市場資金はさらにビットコイン、金市場へ流れ込みます。
そしてビットコインと金を比べたときに、私は金を選ぶ事を推奨させて頂きます。
ビットコインと比べ、金への投資にはメリットが2つあります。
①金価格の上昇余地
ビットコインは史上最高値を更新するなど高値圏をつけています。
対する金はドルの供給量に対し価格が割安であり、ビットコインの上昇率と乖離があります。
年初の割安感も出ており、ここからの価格上昇に期待が持てます。
②金は唯一無二の安全資産
ビットコインとの大きな違いが金は実物資産であるという点です。
金は有史以来、希少性から世界共通の資産として認識され、長らく人類の経済活動の基になってきました。
この歴史がビットコインとの大きな違いです。
20年前から見ても50年前から見ても、金価格は上がり続け資産としての優位性を保っています。
もちろん私はビットコインを否定しているわけではありません。
今後、ビットコインにも資金が流れ価格はまだまだ上昇が期待できますし、スピード感は金より上です。
市場規模が小さく価格の乱高下が激しいので、短期的に利益を上げたい方にはオススメです。
逆に長期的に見て価格の変動に一喜一憂せず、資産を増やしたい方は金を保有する事が良いのではないでしょうか。
どちらにせよ昨年に引き続き、2021年も通貨価値低下が懸念されます。
投資目的から考え、資産運用して頂ければ幸いです。